For Japan -日本を経営せよ-

インタビュー

株式会社ヤマトバイオレッツ

代表取締役

梁川 剛一氏

「一粒も無駄にしない」――たらこの価値を見つめ直し、新たなおいしさを届ける

「一粒も無駄にしない」――たらこの価値を見つめ直し、新たなおいしさを届ける

辛子明太子や塩たらこの製造・販売を手掛ける株式会社ヤマトバイオレッツ。「日本一たらこを大切にする会社」を掲げ、一粒も無駄にせず、素材の価値を引き出す商品づくりに取り組んでいます。今回は代表取締役の梁川剛一氏に、会社が大切にする理念や新たな価値を生み出す商品開発、経営者としての考え方、今後の展望について話を伺いました。

一粒も無駄にせず、たらこの価値を引き出す

――会社として大切にしている理念や考え方を教えてください。

会社として大切にしているのは、一緒に働く皆さんの物心両面の幸福を追求することです。「みんなで幸せになりましょう」という思いを持って事業に取り組んでいます。

また、「日本一たらこを大切にする会社」を掲げ、一粒も無駄にせず、すべてを価値あるものにすることを目指しています。たらこという素材をよく見て、単純に安く売るのではなく、ほかにどのような価値があるのかを考え、それを商品としてお客様に提案することを大切にしています。

――これまでにない商品づくりに力を入れている背景を教えてください。

私は30年以上、辛子明太子をはじめとする水産業界に携わってきました。その中で、贈答需要の変化などによって売上が厳しくなり、商品を切ったり崩したりして価格を下げ、お客様に買っていただく流れも見てきました。それによって購入しやすくなる一方、単価が下がり、業界として苦しい状況にもつながっています。

だからこそ、これからは価格を下げるのではなく、今までにない価値をつくることが大切だと考えています。素材そのものをしっかりと見つめ、まだ気づいていない価値を見つけて商品にする。それが当社の大切にしている考え方です。

素材本来のおいしさを届ける商品づくり

――お客様から評価されている商品について教えてください。

現在、「生仕立て」の辛子明太子やたらこをご案内しています。一般的な製造工程では、ベーリング海で採れた原料を冷凍し、国内で解凍して塩たらこにした後に再び冷凍します。さらに解凍して辛子明太子に加工し、再度冷凍して流通させます。生産性を考えれば合理的ですが、冷凍と解凍を繰り返すことでドリップが出てしまいます。

そこで「生仕立て」では、冷凍と解凍を何度も繰り返さず、ベーリング海で採れた際に冷凍された原料を国内で解凍した後、再冷凍せずに届ける方法を採っています。冷凍と解凍の回数を抑えることで、みずみずしさや粒感を楽しめるのが特徴です。お客様からも、たらこのおいしさを改めて感じていただけています。 

――社長に就任してから、どのような困難がありましたか。

2020年4月に当社の社長を拝命してから現在までが、私にとって最も厳しい期間だったと感じています。それまでは会社の中で一つの部門を見ていましたが、社長になると会社全体を見なければなりません。

当社は価格を下げて販売することに取り組んできましたが、そこから付加価値をつけてお客様に提案する方向へ変えていきました。そのためには商品開発だけでなく、製造工程や、お客様に価値を説明する営業のプロセスまで新しくつくり直す必要があります。大変ではありましたが、会社を変えていくための良い機会になったと思っています。

経営者として成長し、自分の「分身」をつくる

――会社の成長に向けて、経営者としてどのようなことを大切にしていますか。

どのような方に来てほしいかを考える以前に、まず私自身がもっと成長する必要があると思っています。新しく加わった方と一緒に仕事をしながら、その方自身にも成長してもらえる環境をつくっていきたいですね。 

ある意味、経営の仕事とは「自分の分身をどれだけつくれるか」だと考えています。また、昔ながらのものを守るだけではなく、新しいことに挑戦していくことも重要です。これから社会が変化していく中で、安く売ることで凌ぐのではなく、新しいことに挑戦する製造業や小売業の方々と一緒に取り組んでいきたいと思っています。

――仕事から気持ちを切り替えるために、どのように過ごしていますか。

私にとって一番のリフレッシュ方法は山登りです。福岡の太宰府にある宝満山に、2015年から登り始めました。標高829メートルの山で、これまでに1,500回ほど登っています。毎週末、朝の暗いうちから登り、山頂で御来光を見ることもあります。

暗かった空が少しずつ白み、鳥が鳴き始め、東の空に薄いオレンジ色の線が入っていく。そこから空が青く変わっていく景色を見ていると、いろいろなことがぱっと消えていきます。

「For JAPAN」で感じたプロの力と新たな気づき

――「For JAPAN」の収録を通して、印象に残ったことを教えてください。

古舘伊知郎さんの存在は圧倒的でした。語り口や知識量も素晴らしく、収録中にはF1の実況のような語りも披露してくださり、その力を間近で感じました。野口さんには山に登る者として親近感がありましたし、吉川美代子さんからは、第一線で活躍されてきた方ならではの強さを感じました。

収録現場も、とても良い環境をつくっていただいたと思っています。初めての経験だったので緊張はありましたが、スタッフの皆さんによくフォローしていただき、周囲から余計なストレスを感じることはありませんでした。

一方で、出演前は自社の商品を説明する場だと考えていたため、実際に参加してみると想像していた番組とは少し違いました。パネルなどを用意されている方もいて、次に機会があれば今回の経験を生かしたいと思っています。

新しい価値を生み出し、たらこのおいしさを広げる

――今後、業界の中でどのようなことに挑戦していきたいですか。

たらこや辛子明太子の業界は、なかなかイノベーションが起きづらいと感じています。これまでの商品開発では、切ったり崩したり、風味を加えたりするものも多くありました。しかし、もともと柔らかい卵を塩漬けにして粒感を生み出す工程そのものを見直せば、まだできることがあると思っています。

新しい商品をつくるだけでなく、実際にお客様に味わっていただき、「たらこや辛子明太子って、こんなにおいしいんだ」と感じてもらいたいですね。この業界に30年以上携わってきたからこそ、これからもしっかり取り組んでいきたいと思っています。

――今後、実現したいことを教えてください。

おいしいたらこや辛子明太子を、もっと多くの方に食べていただきたいと思っています。そして、皆さんが食べたいと思ったときに、近くのお店で買えるようにしていきたいですね。

――最後に、読者のみなさまへメッセージをお願いします。

おいしいたらこや辛子明太子を届けますので、ぜひご賞味ください。おいしいですよ!

出演回:シーズン4 第13回(2026年7月3日)

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