地域医療の現場で子どもたちと向き合い続ける一方で、日本の小児医療の未来に強い危機感を抱き、経営という立場からも挑戦を続けている、たけつな小児科クリニック院長・竹綱庸仁氏。本記事では、ForJAPANへの出演を通じて感じたことや、現在取り組んでいる発信活動、そして次世代へ託したい思いについて、お話を伺いました。
ForJAPAN出演で得た気づきと学び
――ForJAPANに出演されて、率直にどのような感想をお持ちですか。
医療業界はどうしても世界が狭く、同じフィールドの人と話すことが多いのですが、ForJAPANでは異業種の経営者の考え方を直接聞くことができました。一対一で真剣に話せる機会はなかなかありませんし、エンターテインメントでありながら、自分の人生や事業にとって非常に有意義な時間だったと感じています。
特に、医療とは異なる分野で大きな挑戦をしてきた方々の視点に触れることで、自分自身の考え方や価値観を客観的に見つめ直すきっかけにもなりました。普段の診療や経営の中では得られない刺激があり、視野が広がったと実感しています。単なる情報交換にとどまらず、自分の在り方や今後の方向性について深く考える時間になったことは、ForJAPANならではの価値だと思います。
音声配信に込めた理念と発信の目的
――現在取り組まれている新しい挑戦について教えてください。
音声プラットフォームで、毎日ラジオ配信を行っています。月曜日は週明けで疲れている保護者の方が少しリラックスできる内容、水曜日はインフルエンザやワクチンなど承認医療の話、金曜日は「夢とお金」をテーマにした話をしています。
子どもたちが夢を持てないことが、不登校などの問題につながっていると感じていて、夢を持つ大切さを伝えたいという思いがあります。自分の夢を実現するために何をしているのかを対外的に発信する場が、今はこの音声配信になっています。
医療の話に限らず、日々の生活や将来について考えるきっかけを届けることで、子どもたちだけでなく、親世代にも前向きな視点を持ってもらえたらと考えています。継続して発信することで、少しずつでも社会に良い循環を生み出せたらうれしいですね。
日本の小児医療の未来と果たすべき役割
――日本をより良くするという視点で、ご自身が果たしたい役割を教えてください。
日本の小児医療には強い危機感を持っています。都市部では24時間小児医療を受けられる環境がありますが、地方ではそうではありません。小児科医が足りていない現状があります。
自分の祖父も小児科医で、その背中を見て育ちました。今度は自分が「たけつな先生になりたい」と言ってくれる子どもたちを増やしたいと思っています。実際に、小児科医を目指している子どもたちもいます。
そうした子どもたちが将来、地域で小児医療を支える存在になってくれれば、今は医療が行き届いていない場所にも安心を届けられるはずです。目の前の診療だけでなく、次の世代を育てる視点を持つことが、日本全体の小児医療を守ることにつながると考えています。そうした循環をつくることが、自分の役割だと感じています。
経営者としての覚悟とシステムづくり
――経営者として大切にしている考え方を教えてください。
小児科医としてやりたいことを実現するためには、お金と経営が不可欠です。夢が大きければ大きいほど、それを支える経営能力が必要になります。
自分はあくまで小児科医でありたい。そのために経営という役割を引き受けています。経営者は、お城で言えば最前線で盾になる存在だと思っています。守るべきは患者さんとスタッフです。
将来的には、経営者がいなくても回る仕組みをつくり、次の世代には医療に集中してほしい。そのための役割を自分が担えればいいと考えています。
次世代へ伝えたい思いと、ぶれない軸
――若い世代に、これだけは身につけてほしい力は何でしょうか。
自分を信じる力だと思っています。失敗しても、そこで諦めなければ失敗ではありません。失敗をきちんと振り返り、次につなげていけば、それはプロセスになります。
自分自身も、離婚や事業の苦しい局面など、決して順調ではない経験をしてきました。それでも諦めずに進んできた姿を、子どもたちには背中で見せたいと思っています。
自分の軸は、小児科医であるという一点から一度もぶれたことはありません。日本の小児医療を守りたい、その思いだけで日々現場に立ち続けています。
これからも小児科医として子どもたちと向き合いながら、夢を持つことの大切さや、失敗を恐れず挑戦する姿勢を伝え続けていきたいと考えています。