創業から40年以上にわたり、地域に根ざした情報発信を続けてきた株式会社地域新聞社。千葉県・茨城県を中心にフリーペーパーを配布し、地域住民と事業者をつなぐ役割を担ってきました。近年では、その基盤を活かした新たな構想や取り組みにも注目が集まっています。本記事では、代表取締役社長の細谷佳津年氏に、事業の特徴や理念、そして今後の展望について伺いました。
地域密着メディアから広がる可能性
――現在の事業内容と企業理念について教えてください。
創業42年を迎え、千葉県と茨城県の一部において、タブロイド型のフリーペーパーを毎週1回、約174万世帯に届けています。地域情報誌として、イベント情報や新規オープンの店舗など、地域の方々に知っていただきたい情報を掲載しています。
配布は約2500人の配布員によって支えられており、広告主の出稿や折込チラシをもとに、無料で配布するビジネスモデルです。紙メディアとしての側面を持ちながら、地域に密着した情報インフラとして機能しています。
――御社の理念について教えてください。
企業理念は「人の役に立つ」という非常にシンプルなものです。ブランドミッションとしては、「地域の人と人をつなぎ、温かい地域社会をつくる」という考えを掲げています。
フリーペーパーを通じた情報提供もその一つですが、それにとどまらず、地域創生といった文脈においても、これまで培ってきたアセットを活かし、さまざまな企業と連携することで新たな価値を生み出せる可能性を持っていると考えています。
――強みを一言で表すとどのようになりますか。
42年間で蓄積してきたアセットを多角的に活用できる点です。紙媒体という枠にとどまらず、可視化された複数の資産を活用することで、地域活性化や再生に直接貢献できる可能性があります。非常に多くの展開余地を持っている会社だと考えています。
ForJAPAN出演がもたらした変化
――ForJAPAN出演のきっかけを教えてください。
番組内で地方創生をテーマとした回があり、福岡市の高島市長が出演されるということで、当社が発表していた地域共創プラットフォーム構想と非常に親和性が高いと感じました。その内容を広く伝える機会になると考え、出演を決めました。
――出演後の反響はいかがでしたか。
大きく二つあります。一つは番組出演による認知の拡大です。もう一つは、密着ドキュメンタリー形式の動画が制作され、それが大きな反響を呼んだことです。特に後者は40万回以上再生され、多くのメディアや関係者から注目を集めるきっかけとなりました。その後も継続的にさまざまな形で取り上げられ、影響の大きさを実感しています。
――社内外への影響について教えてください。
社外では取引先や関係者からの反応が増え、応援や問い合わせなどさまざまな声をいただきました。経済界や政治関係者からの関心も高まりました。社内においては、映像を通じて状況が共有されたことで、理解が深まったと感じています。普段は伝わりにくい部分も、可視化されたことで実感を伴って受け止めてもらえたと思います。
共感が生む経営の推進力
――現在注力している取り組みについて教えてください。
地域の非上場企業を株式交換などの形で上場企業グループの一員とし、持続可能な経営基盤を構築するという構想を進めています。これにより、地域に雇用を維持し、人材が都市部へ流出することを防ぐことを目指しています。
出演後は講演の機会や自治体との連携も増え、具体的な取り組みが広がっています。福岡市との連携や関連団体との協働など、スピード感を持って展開が進んでいます。
――経営判断で大切にしていることは何でしょうか。
アイデア自体はどこでも生まれますが、それを実現するためには共感が不可欠です。従業員をはじめとするステークホルダーが、そのビジョンにどれだけ共感してくれるかが重要です。
当社では「人の役に立つ」「地域」という軸があるため、それに合致する取り組みであれば、強い支持を得ることができます。社内外を問わず、共感を生み出せるかどうかが、挑戦を前進させる原動力になると考えています。
次世代に託す経営の視点
――次世代のリーダーに伝えたいことを教えてください。
経営の本質とは、人・モノ・サービス・お金・ネットワーク・信頼といった有形・無形の企業アセット(経営資源)をいかに拡充するかにあります。そして、それにも増して困難なのは、限られた経営資源をどう配分するかという側面です。その視点を養うために、社内では「自分が社長だったらどう判断するか」といったテーマを設け、実際に考えてもらう取り組みを行っています。配分の難しさや意思決定の重みを体感することで、経営の本質を理解する機会になります。それぞれの考え方の違いも見えてきて、次のリーダー像が自然と浮かび上がってくるのです。
――日本社会における御社の役割についてどう考えていますか。
ズバリ、「地域共創プラットフォーム」の推進です。「売らないM&A」と称する株式交換を通じて、地域に持続可能な企業を量産し、その結果、地域の雇用を生み出すことが 日本の課題解決の第一歩だと考えています。地域に仕事があれば、人はその地域に住み続けます。その仕組みを実現するために、上場企業としての立場を活かし、地域企業の持続性を高める取り組みを進めています。これは簡単なことではありませんが、大きな意義のある挑戦だと考えています。
発信の場をどう活かすか
――ForJAPANという番組の価値について教えてください。
自社の施策をスピード感を持って広げるうえで、非常に有効な場だと感じました。認知の拡大だけでなく、具体的なつながりや機会創出にもつながっています。テーマ設定も時代に即しており、多くの人の関心を引きつける力があります。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
これまでの経験から感じているのは、「何を伝えたいか」に情熱を持って発信することの重要性ではないでしょうか番組出演で例えるなら、自らの意思でテーマや伝えたい内容を提示することで、より価値のある発信になります。主体的に熱量を持って発信することで、言葉の力は大きな共感につながるものになると信じています。