中小企業のブランディング5ステップ|予算・体制別の手法比較
「自社には強い商品も技術もあるのに、なかなか知ってもらえない」
「採用で大手に負けてしまう」
「価格で比べられ、値下げ交渉ばかり続いている」
こうした悩みを抱える中小企業の経営者は少なくありません。
その解決策として注目されているのが、中小企業のブランディングです。ブランディングというと、多額の広告費をかける大手企業の取り組みと思われがちですが、実は限られた予算と人員で戦う中小企業こそ、取り組む価値があります。
この記事では中小企業がブランディングに取り組むべき理由から、予算・体制別の手法比較、成功までの5ステップ、つまずきやすい注意点、実際の成功事例までをわかりやすく解説します。自社に合ったブランディングの進め方を見つけ、「選ばれる企業」になるための第一歩としてお役立てください。
目次
中小企業のブランディングとは?大企業との違いと現状
まずは、中小企業にとってのブランディングの意味と、大手企業との違い、そして国内の中小企業がどの程度ブランディングに取り組んでいるのかを見ていきます。
中小企業におけるブランディングの目的
ブランディングとは、ロゴを作ることや広告を出すことそのものではありません。自社の強みや想いを顧客・求職者・取引先に正しく伝え、「この会社だから選びたい」と思ってもらうための仕組みづくりです。
ロゴやWebサイト、パンフレットは、その仕組みを伝えるための手段のひとつにすぎません。中小企業におけるブランディングの目的は、自社ならではの価値を明確にし、それを一貫して発信することで、顧客や採用応募者を増やし、長く選ばれ続ける状態をつくることにあります。
大企業と中小企業のブランディングの違い
大企業と中小企業では、ブランディングの進め方が大きく異なります。
大企業は、テレビCMなどのマス広告に多額の予算をかけ、幅広い層への認知を一気に獲得する手法が中心です。一方、中小企業は予算も人員も限られているため、同じ戦い方をしても勝ち目はありません。
中小企業に求められるのは、ターゲットを絞り込み、自社の価値に共感してくれる質の高い顧客や人材との信頼関係を築くことです。「広く浅く」ではなく「狭く深く」。これが中小企業のブランディングの基本的な考え方です。
中小企業のブランディング取り組み状況
中小企業庁の「2022年版 中小企業白書」によると、ブランドの構築・維持に向けた取り組みを実施している中小企業は36.8%、実施していない企業は63.2%でした1。つまり、6割以上の中小企業はまだブランディングに本格的に取り組めていないのが現状です。
また、ブランド構築のために取り組んでいる内容としては、次の3つが上位に挙がっています。
- 顧客や社会へのブランドメッセージの発信(48.8%)
- 自社ブランドの立ち位置の把握(42.0%)
- ブランドコンセプトの明確化(38.0%)
裏を返せば、まだ多くの企業が取り組んでいない今こそ、ブランディングに着手することで競合との差をつけるチャンスだといえます。
※1 出典:中小企業庁「2022年版 中小企業白書」第2部第2章第1節
なぜ今、中小企業にブランディングが必要なのか?
人口減少による市場の縮小や人手不足が進むなか、中小企業にとってブランディングは「余裕があればやるもの」ではなくなりつつあります。ここでは、ブランディングがもたらす3つのメリットを紹介します。
①価格競争からの脱却
ブランド力がない状態では、顧客は価格や条件だけで取引先を比べます。その結果、値引き交渉に応じ続け、利益が削られていく悪循環に陥りがちです。
ブランディングに取り組むと、この状況が変わります。「この会社の品質なら安心」「この会社の考え方に共感できる」と感じてもらえれば、顧客は価格以外の理由で自社を選ぶようになります。たとえば、相見積もりで他社より価格が高くても「実績と対応の丁寧さを考えればこの会社に任せたい」と判断されたり、指名での問い合わせが増えたりするのは、ブランドが機能している状態です。
不必要な値引きに応じる必要がなくなれば、適正な利益を確保できます。その利益を人材や設備、商品開発に回すことで、さらに付加価値が高まるという好循環が生まれます。
②採用力の強化
知名度や待遇面で大手企業と同じ土俵に立つと、中小企業はどうしても不利になります。
しかし、自社の理念や仕事のやりがい、働く人の魅力を発信することで、「この会社の考え方に共感したから働きたい」という共感型の採用が可能になります。条件ではなく、想いに惹かれて入社した人材は、入社後のミスマッチも起こりにくく、定着にもつながりやすくなります。
③経営者・社員のエンゲージメント向上
ブランディングの効果は社外だけにとどまりません。自社の価値や目指す方向が明確になることで、社員は「自分たちは何のために働いているのか」を理解しやすくなります。
自社に誇りを持てる社員が増えれば、仕事への主体性が高まり、離職率の低下も期待できます。また、経営者自身にとっても、自社の存在意義を改めて言語化することは、経営判断の軸を定めることにつながります。
予算・体制別!中小企業におすすめのブランディング手法比較表
ブランディングの手法はさまざまで、かかる費用や効果が出るまでの期間、社内で動く人も異なります。自社の予算と体制に合った手法を選ぶために、代表的な5つの手法を比較表にまとめました。
| 手法 | 予算 | 効果が出るまでの期間 | 社内で動く人 | 向いている企業規模 |
|---|---|---|---|---|
| 自社Web・SNS運用 | 月数万〜20万円1 | 中~長(6ヶ月~) | 現場担当者 | 小規模〜 |
| インナーブランディング | 50万〜300万円2 | 中~長(6ヶ月~) | 経営者・人事 | 全規模 |
| 既存客向けCX向上 | 月数万〜30万円 | 短~中(3ヶ月~) | 営業・カスタマーサポート | 小規模〜 |
| メディア掲載・番組出演 | 50万〜200万円 /回3 | 短~中(即効性あり) | 経営者・広報 | 中小〜中堅 |
| 外部コンサル・外部発注 | 月50万〜150万円 | 中~長(6ヶ月~) | 経営者・プロジェクトチーム | 中小〜中堅 |
※1:内製メイン〜ツール利用・一部運用サポートを想定
※2:クレド制作、社内ワークショップ、周年事業などのプロジェクト一式費用
※3:番組参画・タイアップ記事・プレスリリース配信等のスポット〜参画費用
費用を抑えて始めたい場合は、自社Web・SNS運用や既存客向けのCX(顧客体験)向上から着手するのが現実的です。ただし、これらは成果が出るまでに時間がかかるため、継続できる体制づくりが欠かせません。
一方、短期間で認知と信頼を得たい場合は、メディア掲載・番組出演のように第三者の力を借りる手法が有効です。複数の手法を組み合わせ、自社の状況に合わせて使い分けることがポイントです。
>> より詳しい「ブランディング手法の全体像や基礎知識」については、[ブランディング手法]の記事もあわせてご覧ください。
中小企業のブランディング成功への5ステップ
ここからは、中小企業がブランディングを進める具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。
ステップ①:自社の強みと独自の価値の再定義
最初に取り組むべきは、自社の強みの棚卸しです。ポイントは、自社が「強みだと思っていること」ではなく、顧客から「実際に選ばれている理由」を言語化することです。
既存顧客へのヒアリングやアンケート、営業担当者が現場で聞いている声などを集めると、社内では当たり前だと思っていた対応の速さや細やかさ、特定分野の技術力などが、実は大きな強みだったと気づくことがあります。そこに創業の想いや経営理念を重ね合わせることで、他社には真似できない「独自の価値」が見えてきます。
ステップ②:インナーブランディング
自社の価値を定義したら、いきなり社外に発信するのではなく、まず社内に浸透させます。これをインナーブランディングといいます。
顧客がブランドを実感するのは、広告よりも、社員の対応や提供される商品・サービスを通してです。経営者だけがブランドを語っていても、現場の社員が同じ価値観で動いていなければ、ブランドは定着しません。
社内説明会やワークショップ、行動指針(クレド)の作成などを通じて、社員の理解と共感を得ることからスタートし、全社で一貫性を持たせることが重要です。
ステップ③:ターゲットの絞り込み
限られたリソースで成果を出すには、万人受けを狙わないことが大切です。「誰にでも合う」ブランドは、結局誰の印象にも残りません。
自社の価値に最も共感してくれるのはどんな顧客か、どんな人材に入社してほしいかを具体的に描き、コアなターゲット層を明確にしましょう。ターゲットが明確になれば、発信するメッセージや選ぶべき媒体も自然と定まります。
ステップ④:自社に合った「発信プラットフォーム」の選定
ターゲットとメッセージが決まったら、どこで発信するかを選びます。前述の比較表をもとに、自社の予算・人員・求めるスピードに見合った手法を決定しましょう。
たとえば、専任担当者を置けない企業が毎日のSNS更新を目標にしても、長続きしません。「社内で無理なく継続できるか」「ターゲットが普段接している媒体か」という2つの視点で選ぶことがポイントです。
ステップ⑤:効果検証と継続的なアウトプット
ブランディングは一度やって終わりではありません。Webサイトのアクセス数や問い合わせ数、採用の応募数、顧客からの反応などを定期的に確認し、発信内容や手法を改善していきましょう。
大切なのは、短期的な数字の上下に一喜一憂せず、一貫したメッセージを継続して発信し続けることです。発信を積み重ねるほど、自社のブランドは顧客や求職者の記憶に定着していきます。
中小企業のブランディングが進まない3つの理由・注意点
ブランディングの重要性を理解していても、途中で止まってしまう企業は少なくありません。よくある失敗パターンを事前に把握しておくことが、ブランディングを継続させるうえで重要です。
①明確な担当者や体制がなく「兼務」で頓挫する
中小企業では、社長1人で進めようとしたり、通常業務を抱えた社員に兼務で任せたりするケースがよく見られます。しかし、日々の業務が優先されると、ブランディングはどうしても後回しになってしまいます。
②短期的な売上だけを求めてしまう
ブランディングは、時間をかけて「信用資産」を積み上げていく取り組みです。広告施策と混同し、すぐに売上が伸びることを期待すると、成果が見えないうちに「効果がない」と判断して挫折してしまいます。
売上だけでなく、認知度や問い合わせの質、採用応募者の変化など、中長期で見るべき指標をあらかじめ設定しておくことが大切です。
③見た目だけを変えて満足してしまう
ロゴやWebサイトを新しくしただけで、ブランディングが完了したと考えてしまうのもよくある失敗です。見た目がどれだけ洗練されていても、社員の対応や商品の品質が伴わなければ、顧客は「イメージと違う」と感じ、かえって信頼を失いかねません。
見た目の変更は、インナーブランディングと組み合わせて初めて効果を発揮します。
中小企業のブランディング成功事例
ここでは、中小企業庁の支援サイト「ミラサポplus」で紹介されている事例から、ブランディングに成功した中小企業を2社ご紹介します。
【製造業・BtoB】美術木箱うらた(KIRIFT)|伝統技術のブランド化で直取引と海外展開を実現
企業概要:富山県高岡市で、約30年にわたり桐を中心とした木箱の製造販売を手がける企業。2019年に二代目の浦田健志氏が代表に就任したことを機に、新たな事業展開に踏み出しました。
抱えていた課題:もともとは工房やメーカーからの受注生産が中心で、一般消費者向けにモノを売った経験やノウハウがありませんでした。
取り組み:代表の妻の依頼で製作したコーヒー豆の収納ケースなどがSNSで好評を得たことをきっかけに、桐箱の技術を生かしたキッチン用品の開発に着手。商工会やよろず支援拠点の支援を受け、「桐(キリ)」と「工芸(クラフト)」を掛け合わせた「KIRIFT(キリフト)」というブランドを確立しました。国産桐材の使用など品質へのこだわりを打ち出し、2020年に第一弾となる米びつを発売しています。
成果:富山県の優秀製品「富山プロダクツ」に認定されたほか、JETROの工芸品輸出支援事業「TAKUMI NEXT 2021」に採択。日本橋とやま館や首都圏の百貨店、大手通販サイトなどでの販売を実現し、下請け中心の事業から自社ブランドを直接届けるビジネスへと広がりました。
(出典:ミラサポplus「桐箱の製造技術を活かして、新商品開発に挑戦」)
【製造・販売】環境大善株式会社|自社ブランドの再定義でターゲット層の若返りと認知度拡大に成功
企業概要:北海道に本社を置き、消臭液や土壌改良材の製造・販売を手がける企業です。
抱えていた課題:事業承継をきっかけに、顧客層の若返りが必要になりました。当初はパッケージなど「見た目」の変更に取り組んだものの、思うような結果にはつながりませんでした。
取り組み:外部のアートディレクターとの出会いをきっかけに「デザイン経営」を導入。徹底的な自社分析によって強みや経営理念、行動指針を明確にしたうえでブランドコンセプトを設定し、シンボルマークやパッケージを開発して社内外への浸透・発信に取り組みました。
成果:販路が拡大し、海外5カ国との取引を実現。利益率の向上にもつながっています。
(出典:ミラサポplus「事例から学ぶ!『ブランディング』」)
事例から分かる!中小企業ブランディング「共通する成功の鍵」
2社の事例には、次の2つの共通点があります。
1つ目は、経営者自らが意思を持ってブランドコンセプトを掲げていることです。どちらの企業も、代替わりや事業承継という転機に、経営トップが「変わる」と決断したことからブランディングが始まっています。経営者の決断と熱量がなければ、独自のブランドは生まれません。
2つ目は、「想い・デザイン・一貫性」をもって外部に発信していることです。単に商品をPRするのではなく、「なぜこのブランドをつくるのか」というストーリーを伝えることが、信頼の獲得や販路拡大、採用といった好循環を生み出しています。環境大善のように、見た目の変更だけではうまくいかず、理念の再定義から取り組みなおして成果につながったケースは、多くの中小企業にとって参考になるはずです。
短期間で信頼と認知を獲得する「経営者の熱量を発信するメディア参画」とは?
事例からわかるように、中小企業のブランディングでは経営者の想いを外部に届けることが鍵になります。しかし、それを自力だけで実現するには多くの時間がかかります。
自力でのブランディングに時間がかかる中小企業が直面する壁
オウンドメディアやSNSの運用は、少ない費用で始められる一方で、効果が出るまでに半年から数年単位の時間がかかります。発信を続けても、なかなか見てもらえない期間が続くことも珍しくありません。
さらに、競合が多い市場では、自社単独の発信だけでは次の2つの壁を突破しにくいのが実情です。
- 認知度の壁:そもそも自社の存在を知ってもらえない
- 第三者からの信頼性の壁:自社がどれだけ良さを伝えても、「自画自賛」と受け取られやすい
認知と信頼を跳ね上げる「メディア露出」と「プロジェクト参画」のインパクト
この2つの壁を超える手段として有効なのが、第三者のメディアによる露出です。自社の発信は「自社の主張」として受け入れられますが、第三者のメディアに取り上げられると、それ自体が「客観的な評価」として機能します。「テレビで紹介された会社」という事実は、取引先や求職者に安心感を与え、市場からの信用度を大きく高めます。
また、経営者自身が出演し、自分の言葉で理念や挑戦を語ることにも大きな意味があります。経営者の熱量がダイレクトに伝わることで、単なる商品紹介を超えた共感が生まれ、ファンの形成や他社との差別化につながるのです。
「For JAPAN」の出演・参画で得られる3つのブランディング効果
For JAPANは、古舘伊知郎氏がMCを務める経済ビジネス番組です。「日本という大きな会社を経営する」という視点から、日本の未来について経営者たちが本音で議論します。出演・参画によって、次の3つのブランディング効果が期待できます。
①信頼性と認知度の獲得
テレビやWebメディアを通じて、経営者の理念やストーリーを全国の視聴者・取引先・投資家にダイレクトに届けられます。「番組に出演した経営者」という実績は、営業や商談の場面でも信頼の裏付けとなります。
②採用力強化と社内モチベーション向上
「メディアで取り上げられる注目企業」というブランド力は、求職者の志望度を高めます。また、自社の経営者がメディアで想いを語る姿は、既存社員にとっても誇りとなり、エンゲージメント向上や離職防止にも役立ちます。
③志を同じくする経営者ネットワークの形成
番組には、「日本を良くしたい」という熱量を持った経営者が集まります。他社の参画経営者とのつながりから刺激を得られるだけでなく、新たな協業やビジネスチャンスが生まれることもあります。孤独になりがちな経営者にとって、志を共有できる仲間と出会える場は大きな価値があるでしょう。
実際に番組では、経営者たちがブランディングや広報戦略について本音で議論しています。『知ってもらうとは経営である』をテーマにした回では、アンチの存在をどう捉えるか、有名人起用の失敗談など、教科書には載らない実践論が交わされました。番組の雰囲気とあわせてご覧ください。
まとめ:自社に合ったブランディングで「選ばれる企業」へ
限られたリソースだからこそ「一貫したメッセージ」と「最短ルート」の選択を
中小企業のブランディングを成功させる鍵は、自社の強みを正しく言語化し、自社に合った手法を選んで、ブレずに発信し続けることです。予算や人員が限られているからこそ、やみくもに手を広げるのではなく、一貫したメッセージを軸に取り組むことが重要です。
自社の想いを全国へ届ける『For JAPAN』で、ブランディングの第一歩を踏み出しませんか?
「自社の技術やサービスをもっと多くの人に知ってほしい」
「理念に共感してくれる人材に出会いたい」
「同じ志を持つ経営者とつながりたい」
そうお考えの経営者の方は、ぜひFor JAPANへのご参画をご検討ください。
経営者であるあなた自身の言葉と熱量こそが、自社の最大のブランドになります。番組参画に関するご相談は無料で承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。
