“日本の未来を創る本質的な気づきを”をテーマに発信しているFor JAPANプロジェクト。
代表インタビューを通して、テレビやYouTubeでは紹介し切れないお話を深掘りしていきます。
今回は、税理士法人小形会計事務所の小形 剛央代表にインタビューしました。
求められるのはクライアントを正しく導く「サムライ」
AI革命の到来 士業はどう在るべきか
税理士、弁護士、行政書士…名称に「士」が付くことから「士業」と呼ばれる私たちは、これまで企業経営を事務手続きの側面から支えてきました。特に税理士は会計関係の業務を引き受けることが多いので、毎年の決算申告や確定申告、帳簿の作成などを、人手でコツコツと行っているイメージが強いかもしれません。しかし、これらの作業は今、AI革命によって急速なデジタル化が図られています。
世界各国の企業・団体が集結した「世界経済フォーラム 2020」では、新型コロナウイルスの流行拡大によって労働力の自動化とデジタル化が加速することで、データ入力・経理・事務などの分野において、近い未来に人員削減が図られると発表されました。
もちろん、会計に関する業務も例外ではありません。これまで人が担っていた作業は、デジタル技術を活用する方向へとシフトすることでしょう。税理士の仕事が人工知能に取って代わられる…そう言い換えることもできます。
この危機的な状況に対して、士業にはまだデジタル化へ対応する土壌ができていないのではないかと、私はそう感じることがあります。士業は個人事業主として開業している方が多く、高齢化が進んでいると言われています。一方で「自分の代で終わるつもりだから」と次世代への長期的な事業継承や、業務の見直しを行わないケースも見受けられます。さらに日本の法令では、税理士事務所について「株式会社」の設置が認められていません。つまり現在の士業は、規模の大きな組織で業務改革を行い、社会変化に対応していく骨組みが作りづらいのです。
今こそ、士業の役割を捉え直すとき
では私たち士業の人間は、どのようにAI時代を乗りこなしていけば良いのでしょうか。私は第一に、士業が持つ役割の再定義が必要だと考えます。たとえば税理士の分野では、会計処理などの事務作業はAIの方が得意かもしれません。しかし数字の正しさを証明したり、出てきた結果を分析・活用したりして問題解決に導くには、「人」の存在が不可欠です。
AIの分析によって出てきたデータには、正確性があります。一方、企業によって目指す経営目標は異なり、活用すべきデータも異なります。そうした、AIが算出したデータでは捉えきれない抽象的な概念を見極めるには、身近な相談相手として企業に寄り添い、理解する存在が必要なのです。
「税理士は事務屋さん」
──そんな固定観念から出て、「企業経営に欠かせない“パートナー”」になる。こうした捉え直しが社会全体に広がれば、士業の社会的価値が高まると考えています。
技術と人の相乗効果を発揮する
これからは、AIの力を活用して細かな分析及び状況把握ができるようになります。会計関係で言えば、事業別、商品別、得意先別に数字をスムーズに出せるようになるでしょう。たとえば飲食業なら、曜日や天気といった要素ごとにデータを出せるかもしれません。そこで算出された結果は、「人」の力で課題解決を導くフェーズにおいて活用できます。AIに取って代わられる業務があるのは事実ですが、技術をどう活かすかは私たちに託されているのです。
また新しい技術を上手く取り入れることができれば、会計関係の業務は格段に効率化されるでしょう。昔は何時間もかけていた作業がボタン一つで完了するようになれば、時間と体力が確保され、知識や記憶まで補ってくれます。その結果、相談業務に多くの時間を割くことができ、顧問先とのコミュニケーションの時間が増えます。
実はこれまでも、私たち士業側と顧問先の双方に「もっと相談されたい・したい」という思いがありました。しかし日々の事務作業に追われ、課題解決まで踏み込みづらい側面があったのです。これからはAI技術と人が相乗効果を発揮することで、正確な情報分析に加えて、人ならではの「安心感」を届けることができるでしょう。
もう一度、「サムライ」業としての士業を
現在は技術の活用によって、企業が経営目標を追求する方法も増えています。このような時代だからこそ、目指す目標が机上の空論とならないよう、士業を全うする私たちが顧問先を正しい道へと導くことが大切です。立てた理想が顧問先で働く人にとって共感できるものなのか、価値を還元するものなのか、それらを見極めて正しい方向へと導くことが、新しい士業の在り方なのではないでしょうか。
士業は「武士」に通ずる意味を持つと言われています。漢字に使われている通り、士業が誕生した当時、その役割は江戸時代の「サムライ」のように、君主に使える最も身近な存在でした。また時代が移って戦後の高度経済成長期には、その専門性の高さから日本企業の発展を力強く支えてきました。
武士が最も重んじた価値基準の一つが、「義=正義」です。武士が生きた時代から数百年の時が流れた今もなお、正義を求める姿勢が私たち士業の根底には流れているのだと思います。そう考えていくと、今改めて基礎に立ち返ることが、未来の社会を生き抜く道標になると思います。
会社概要
法人名:税理士法人小形会計事務所
代表者名:小形 剛央
企業ホームページ:https://www.tkcnf.com/ogatakaikei
所在地:神奈川県相模原市中央区横山台2-9-17
事業内容:独立・開業支援に関する業務、各種税務に関する業務 など
For JAPANプロジェクトとは
For JAPANプロジェクトとは、10年後20年後の日本の未来の担い手である20代にむけて、日本の未来を創る”本質的な気づき”を。をテーマに様々なコンテンツを通し情報発信を行っています。 参画された【50人の社長】というレンズを通して、経験に基づく本質的な考え方や情報を学び、動き出すきっかけを与え”日本の未来を創るプロジェクト”全国放送『For JAPAN ‐日本の未来がココに‐』(BS11)や、YouTubeチャンネル『For JAPAN ‐日本の未来がココに‐』など様々なコンテンツで社長たちが徹底討論。
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