For JAPAN

有限会社総和運輸の代表取締役 船橋 謙一が伝えたい思い「若手ドライバーの育成こそ道標」

Interview

“日本の未来を創る本質的な気づきを”をテーマに発信しているFor JAPANプロジェクト。
代表インタビューを通して、テレビやYouTubeでは紹介し切れないお話を深掘りしていきます。
今回は、有限会社総和運輸の船橋 謙一代表取締役にインタビューしました。

若手ドライバーの育成こそ道標

20〜30年で危機的な「人材不足」に陥った運送業界

今、運送物流業界は深刻な人手不足に直面しています。特に20代の若い人材がいない。一昔前はこの業界で働き手に困ることなんて考えられなかったんです。ドライバーという職業は実力主義です。年功序列の組織形態ではなく、技術を経験でカバーして頑張った分だけ給料が上がる。要は手っ取り早く稼げる仕事なんです。

それが時代の変化によって、職業の選択肢も増え稼げる手段が広がったり、生活スタイルや価値観の変化でフリーターのように自由な立場でも暮らしたりできるようになりました。そうすると、事故などの危険を伴うドライバーという職業に就きたいと思う人は減っていきました。

でも、時代の流れで職業や働き方が変わっていくことは当然のことでしょう。しかも運送物流業界における仕事は増えており、変化に合わせて取り組んでいれば働き手も増えているはずなんです。しかし、多くの企業は人手不足で頭を悩ませています。

他社からの即戦力の採用は近道ではなく遠回り

どんな時代でも、運送物流業界の仕事は無くならないんです。物流が止まるということは、国民の生活が止まるということですから、国の発展を支えているモノが物流ということです。この事実はコロナ禍でも明らかになりました。外出できなくてもインターネットで買い物ができる環境ならばモノは動き続けます。また国内で生産が止まっても、海外からの仕入れもあります。

実は人材不足とされながら、どの会社にも50〜60代の経験豊富なドライバーはいるんです。即戦力となる働き手を各社が取り合っていることで、人材不足が解消されないのが現状です。ベテランドライバーは体力の衰退に抗えません。ただ彼らは技術や経験があり、自分なりの仕事の進め方が確立されているため重宝されています。裏を返すとドライバーの立場が強いため、本人の望む環境へ転職することもできます。しかしそうなると結局は母数となる人材が増えず、一部の即戦力が他社を渡り歩いているだけで人材不足の根本的な解決には至りません。

「人材不足」は言い訳、人を育てることが面倒なだけ

総和運輸でも、仕事はあるのに人材不足に悩んでいた時期がありました。しかし現在は多くの若手ドライバーたちが活躍しています。3年くらい前に比べると社員の数は倍近くになりました。増えたメンバーはみんな20代であり、会社が嫌で辞めた人はこれまで1人もいないんです。もうドライバー不足を危惧することはありません。

こうした状況は、人材不足の解消に向けて8~9年前から取り組んできた結果だと思います。免許の取得支援、未経験者のサポート、手間と時間、お金をかけて人材を育てています。毎朝の点呼でドライバーたちとコミュニケーションを取ることは当然であり、時には気分の浮き沈みに向き合うこともあります。どんな時も会話を重ねることで生まれる心が通ったやりとりには、大きな価値があります。

人材不足は即戦力で補うのではなく、日々の積み重ねで人を育てていくことが重要だと思うんです。花に水をあげなければ枯れてしまうことは、わかるでしょう。人間だって同じであり、育てることの大切さに気づかないわけがないんです。でも、結局は忙しいなど言い訳をして見て見ぬふりをしているだけなんですよ。

業界で活躍しているドライバーの多くは50〜60代です。1年に1名のペースで若い人材を採用しても追いつきません。総和運輸では社員たちが知人を紹介することでさらに新たなドライバーが増えるなど、良い循環を繰り返して担い手が広がっています。

1人1人の思いと働き方がシンクロする業界へ

運送物流業界では労働時間の上限が設定される「2024年問題」が間近に迫っています。これは働き手がいない状況にも関わらず、さらに人を必要とする問題なんです。

ドライバーにとって、渋滞は大きなストレスです。だから渋滞を避けて早めに配達先に向かい、近くで休憩を取りながら時間調整をしたい場合もあります。ですが2024年問題によって、車に乗った時点で労働時間がカウントされると調整が難しくなる。こうしたことがドライバーのストレスにつながり、事故を招いてしまう要因になるんです。

また、若くて体力のあるうちにどんどん稼ぎたいドライバーもいます。しかし、労働時間が制限されてしまうとその希望を叶えることができなくなってしまいます。

どうして実態に基づかない体裁だけの取り決めに振り回されなくてはならないのか、疑問に思うばかりです。まずはこうした実情を議論の場に上げることが、今後の運送物流業界の未来につながる第一歩だと思っています。

人口は減っても、物流という仕事がなくなることはありません。なぜなら自動運転の技術が進化を続けても、お客様の手元に荷物を届ける過程では絶対に人が必要だからです。国民の生活の発展には物流の発展が不可欠なんです。だからこそ、ドライバー1人1人が思い描く最適な働き方ができる環境を広げていきたいです。

たとえば社員と接するときには、相手の言動を認めたうえで、「もっとこうしたらいいんじゃない?」というアドバイスをするようにしています。特に我々のような製造業には、自分の仕事に集中する職人気質の社員が多く、「自分はこうした方がやりやすい」というような独自のやり方も生まれてきます。一方で会社としての方針もありますので、本人の意見を尊重しながら自分の意見を伝えるようにしています。 自分の気持ちを分かってもらうには、まず人の気持ちを理解することが大事です。これは若手であっても経営者であっても、共通して言えることです。双方の考えや思いによく耳を傾けることが大切でしょう。そして他人の考えを受け入れるには、繰り返しにはなりますが、日頃からさまざまな考えに触れる必要があります。私自身も相手を理解し、共に考える努力をしていきたいと思います。

会社概要

法人名:有限会社総和運輸
代表者名:船橋 謙一
企業ホームページ:https://www.sw-newface.com/
所在地:東京都品川区大井3-18-20
事業内容:海上コンテナ輸送

For JAPANプロジェクトとは

For JAPANプロジェクトとは、10年後20年後の日本の未来の担い手である20代にむけて、日本の未来を創る”本質的な気づき”を。をテーマに様々なコンテンツを通し情報発信を行っています。 参画された【50人の社長】というレンズを通して、経験に基づく本質的な考え方や情報を学び、動き出すきっかけを与え”日本の未来を創るプロジェクト”全国放送『For JAPAN ‐日本の未来がココに‐』(BS11)や、YouTubeチャンネル『For JAPAN ‐日本の未来がココに‐』など様々なコンテンツで社長たちが徹底討論。

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